
・ 食事を変えたことで世界No.1になれたジョコビッチ選手の食事術とは?
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・ レースのエネルギー補給を考える |
◆ 運動中には、糖と脂肪はいつも両方使われている
エネルギー源として糖と脂肪は、ほとんどの場合どちらも使われています。
運動強度や運動時間によって糖と脂肪の利用量比率は変化しますが、運動のエネルギー源が脂肪のみということはなく、また逆に糖のみということも相当強度の高い運動をしない限り、ほとんどありません。
● 糖の利用を考える
糖の特徴として水に溶けるということがあります。
運びやすく、代謝経路も比較的に少ないので、エネルギー源としてすごく使いやすい。
しかし、多く溶けると濃度があがり、浸透圧は変わってしまいます。
体内は、一定の浸透圧になるように保たれています。
糖は体内でグリコーゲンという形で蓄えていますが、蓄えようとすると水が必要になります。
甘いものを食べると水が飲みたくなるのは、これが原因です。
大量に溜めようとすると余計に水が必要になり、それで身体が重くなります。
これも糖を大量に貯められない理由のひとつです。
糖は脳の唯一のエネルギー源であって、体にとって絶対必要なのですが、このように大量にあっては困る。
そこで体内にある糖の量は一定に保たれ、脂肪に比較して多くはありません。
● 脂肪の利用を考える
脂肪は、水に溶けないので、糖とは逆にたくさんあっても浸透圧が変わることはありませんから、貯めるのに適しています。
しかし、水に溶けませんので血液中を運んでいくには手間がかかります。
脂肪酸はアルブミンというタンパク質にくっついて運ばれます。
脂肪はエネルギーを効率よく貯めている。
1kgあたりのエネルギーを考えると、糖は1gあたり4kcalなのに対して、脂肪は1gあたり9kcalです。
ということは脂肪のほうが、エネルギーが詰まっているということです。
つまり、すぐに使えるエネルギー源として糖があり、貯蔵に適しているエネルギー源として脂肪がある。
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◆ 使いやすさの差が、運動強度による利用比率の差となる
脳のエネルギー源は糖のみ
脂肪を使う際には、糖が必ず少しは必要になります。
脳のエネルギーは、脂肪を使わず、糖のみを使っています。
脳は生きている限り、いつも働いていて、脳のエネルギー消費量は少なくありません。
安静時には、心臓から送り出される血液のうち15〜20%くらいは脳に運ばれています。
安静時に、1時間で80〜100kcal程度は消費しますが、その1〜2割は脳によるエネルギー消費ということになります。
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運動時でも安静時でも糖は必ず使われます。
安静時には、糖と脂肪の利用比率は、1:2くらいです。
では、運動時における糖と脂肪の利用割合はどのくらいなのでしょうか
運動強度を上げていくと、
糖:脂肪の比率は、、1:1くらいになってきます。(LT)
この程度の強度LT(乳酸性作業閾値)までは、運動強度が上がるほど。糖も脂肪も消費量が増えていきます。
さらに運動強度を上げていくと、脂肪の利用がどんどん減り、その分、糖の利用が高まっていきます。
この脂肪の利用が減って糖の利用が高まる点が、LTに相当します。
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● 糖を多く使い続けるわけにはいかない
糖は脂肪より量が少ない
糖は無限に体内にあればいいのですが、実際には糖の量は多くありません。
体内のエネルギー貯蔵量は、圧倒的に脂肪のほうが多い。
マラソンなど持久的運動で、エネルギー源として糖を多く使っていくと、後半には糖がなくなり、血糖値が下がってくることになります。
脳へのエネルギーが足りなくなって、「こんな運動は続けては困る」という命令を体に出すことになり、それが、「きつさ」に現われます。
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◆ レース中に、糖と脂肪の利用度を考えることが重要
● レース中で、LT値を意識する。
筋グリコーゲンを中心とする糖の貯蔵量には限りがあるので、いかに保つかを考えることが重要です。
マラソンなどのレースでは、いかに筋グリコーゲン量を保存して最後までもたせるのか、ということが大事になってきます。
また、マラソン後、大きく減った筋グリコーゲンの量を元に戻すには、通常1日では無理です。
合宿などハードトレーニングには、どうやって早く筋グリコーゲン量を回復させるかが重要になります。
※LT値の簡単な算出方法
(最大心拍数220−年齢−安静時心拍数)×0.75+安静時心拍数
● 運動開始時には糖の利用が高い
安静状態から急にエネルギーを作らなければならなくなり、脂肪よりも糖のほうがやりやすいため、運動を開始したばかりの時には、糖の利用が高くなります。
どのくらい糖の分解が高まるのか
運動を始めたときに糖の利用が高まるといっても、運動開始後1分までは、糖:脂肪の利用比率が1.2:0.8くらいの比率です。
その後安定した状態では、糖:脂肪の利用比率が1:1くらいです。
● 運動強度を変えると糖が使われやすい
運動強度を急に上げると、より多くのエネルギーが必要になります。
そうすると運動開始時と同様に、糖分解がさかんになり、糖の利用が高まります。
● マラソンのスパートは1回に限るわけ
マラソンは筋グリコーゲンをいかに温存して最後まで走るかが勝負の分かれ目になります。
スパートは、運動強度を上げることですから、それだけ糖を使い、筋グリコーゲンを消費します。
何度もスパートを繰り返していると糖がなくなってしまいます。
いずれにしろ30キロの壁といわれるように、マラソンの終盤になると筋グリコーゲンがなくなってきますから、それによるペース低下が多くの場合起きることになります。
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◆ 急に血中乳酸濃度が上がる値がLT(乳酸性作業閾値)
運動強度が弱いときは、血中乳酸濃度は安静時と変わらない1〜2ミリモル程度です。
少しずつ運動強度を上げていくと、1.1、1.3ミリモルという程度でゆっくりとあがります。
ちょっときついかなといった感じの強度になってくると急に上がり始める境目の運動強度があります。
この強度が、LTです。
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糖の利用が高まる点がLT
どうしてLTから血中乳酸濃度が上がるのでしょうか。
それはエネルギー源としての糖の利用が、脂肪に対して相対的に高まるからです。その境目がLTです。
LTから脂肪の利用が低下する。
LTまでが、脂肪のみ、LTから糖のみということではなく、糖と脂肪はどちらもいつも使われています。
安静時、糖と脂肪の使われる比率は、1:2に対し、LTレベルだと1:1くらいです。
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強い運動で速筋繊維が動員される
強度の弱いときは、主として遅筋繊維が働き、速筋繊維はあまり働きません。
運動強度が上がってくると(より強い力が必要)速筋繊維も動員されるようになります。
速筋繊維が働くと乳酸が、多く出来ます。
速筋は、ミトコンドリアの量が少なく、グリコーゲンは、多く持っています。
利用できる以上の糖を分解するので乳酸が発生します。
その乳酸を遅筋繊維や心筋がエネルギー源として使っています。
つまり速筋繊維は乳酸を作り、遅筋繊維は乳酸を使う繊維といえます。
速筋で作られる乳酸の量のほうが、遅筋で使う量よりも多いため血中乳酸濃度が上がるのです。
LTは、速筋繊維が、動員され始める運動強度であるといえます。
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LTを堺に、きつくなり始める
LTという指標は長時間の運動を考える時に非常に重要です。
それはひとつに「きつさ」と関係しているからです。
体の負担度がLTあたりから急に高くなるということで、走っていると少しきついかなと感じるところがLTということになります。
このLTあたりの運動時からアドレナリンが出ることもあり、ランナーズハイと呼ばれるような「快さ」にも関係があるようで、気分よく走れている時は、だいたいLTぐらいで走っているようです。
LTは「ちょっときつかな」でもあるし「快調だな」でもあるようです。
マラソン選手は、レース中、LTよりも少し上の強度で走っているようですが、一般の人が、マラソンを走ろうと思ったら、LTを超えないようにすることが大事です。
出来るだけ、糖の利用を抑え、脂肪の利用を意識して走る。
トップアスリートは、OBLA(血中乳酸濃度4ミリモル程度)の強度で走っています。
この強度を超えないように意識して走っています。
(LT(血中乳酸濃度2ミリモル程度)から乳酸が蓄積していき、OBLAが、上限値)
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◆ レース中のエネルギー補給は、どれだけ摂ればいいの?
トライアスロンやトレイルレースなど10時間を越えるようなレースになると、エネルギー消費も6000kcalを超えてきます。
これだけ消費するのだから、レース中に、消費するカロリーと同じ分だけ補給しなければならないと勘違いしている方がいます。
レース終了後、最終的な回復を考えれば、失われた栄養素はしっかりと摂らなければなりません。
しかし、スタート前は、すでに十分すぎる脂肪、グリコーゲンローディングで溜めたおよそ2000kcalの糖を蓄えているわけです。
消費エネルギーすべて糖を使っているわけでもなく、脂肪をうまく使うことができれば、かなりの補給量を減らせることになります。ちなみに「きつさ」の指標となるLTまでおよそ糖と脂肪の利用比率は、1:1くらいです。
でもグリコーゲンの枯渇には十分注意は必要、1時間あたり最大320kcalしか腸から吸収できないとも言われています。
こまめな補給が大事なことは言うまでもありません。
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引用・索引 エネルギー代謝を活かしたスポーツトレーニング |
・ グリコーゲンローディング
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本来は、体のグリコーゲンの貯蔵量はほぼ一定で増やせません。
しかし体には、「一度何かが足りなくなると、次にそれより多くを貯めようと働く」という性質があるので、これを利用して、筋グリコーゲン量を少し増やそうとするのが、グリコーゲンローディングのやり方です。
従来の貯蔵量を増やす方法
一般的に、以前よくいわれたグリコーゲンローディングの方法は、まずレースの1週間前から3日間糖質の少ない食事をして、糖の摂取量を減らします。さらに運動をして体内のグリコーゲンを減らします。
そして、3日くらい前から、今度は、糖質の多い食事をして、糖の摂取量を増やしてグリコーゲンを多く貯め込ませるやり方です。
でもここで、問題点があります。
糖質の摂取量を下げる期間に、糖質が食べられないということで心理的に辛くなり、さらに、そのような状況で運動をすることが余計に辛く、レース直前にかえって疲労感が増し体調を崩すことがあります。
また、糖質を多く食べる期間に、糖を多く食べるとかさばりますから、胃や腸への負担が大きくなり、さらに糖を貯めるのに水を必要としますから体重が増えることになります。
お勧めは簡単に
こうしたことからグリコーゲンローディングは難しく、胃腸の弱い選手には勧められません。
胃腸に負担をかけないことを第一にして、レース1週間前から練習量を減らしていき、3日前から高糖質食に切り替えるという方法。
簡単で、ストレスが少ないやり方で。
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・ インスリンショックに注意!! |
マラソンレース直前には、糖質を摂取するのは控えたほうが良さそうです。
「インスリンショック」(インスリンの分泌による低血糖状態)に陥るかもしれません。
十分な糖質補給と思い、「スタート直前に高カロリーの糖質を口にした。ところが走り出すと足に力が入らず、後半はふらふらに。」といった話を聞きます。
これは、急激な血糖上昇がインスリン分泌の引き金になり、その反動で、逆に急激な低血糖を起こしている(血糖上昇を抑えようと働くため)。
この状態で走り出すと、血中が、ガス欠状態です。すると脳のエネルギー源であるブドウ糖が不足して疲労感が増し、走る意欲も失われてしまいます。
レース直前には、糖質を摂取するのは控える。摂っても少量に!!
糖質補給は、運動が始まってから。
運動が始まると交感神経が活発になり、インスリンが出にくい状態になる。
運動が続くと、交感神経が優位になり、神経末端からはノルアドレナリンの分泌が盛んになる。
これは、非常時だから体中からエネルギーを供給しろという信号で、このような状態になると糖を摂取してもインスリンは出なくなっていきます。
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・ 自律神経のバランスで決まる |
自律神経でもっとも大切なのは交感神経と副交感神経のバランスですが、このバランスは、主に副交感神経が上下することでとられています。
私たちの体は、「交感神経」と「副交感神経」という相反する働きがある2つの自律神経によってコントロールされています。この2つの神経は、車にたとえるとアクセルとブレーキのようなものです。
運動するときや頭を使うときなど、心身が「興奮」するときに優位に働く交感神経はアクセル、くつろいでいるときや眠るときなど、心身が「リラックス」するときに優位に働く副交感神経はブレーキです。
中高年は、残念ながら副交感神経のレベルが低下してきているので、それをさらに下げるような運動は、体を老化へとおいやる可能性があります。(副交感神経は、運動で鍛えることができます。)
運動ストレスが続き、交感神経が優位な状況が続くと自律神経のバランスが崩れ、正常な状態に戻そうとする機能ホメオスタシス(恒常性維持機能)の低下、免疫系や内分泌系にも影響してしまいます。
主に抵抗力が落ちてきて、活性酸素の攻撃を受けやすくなります。
また、「胃腸」、つまり消化器官の働きが低下します。
(胃腸の働きが活発になるのは、副交感神経が働いているときです。)
運動中と運動直後は交感神経が優勢な状態であり消化器官の機能が低下している
レース後半の補給食には、注意が必要。
胃腸に負担の少ない、吸収のよいものを!!
一般に消化管活動は副交感神経によって促進されるため、運動中は、消化器官は機能が低下している。
食べた後で急に運動すると消化が滞るのはこのためである。消化管の分泌機能も低下している。
したがって、運動中の糖の摂取は、副交感神経が優位な安静時よりも注意が必要である。
運動中、人間の溶液の胃内滞留時間についても研究がなされており、強い運動中および運動を行った直後は、胃の幽門からの内容物の放出は有意に遅いことが示されている。
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・ どれくらいの水分をとればいい |
基本的には、汗の量を補給すればよい。
水分は一度にたくさん飲んでも吸収されませんから、こまめに少量ずつとることが大切。目安としては、1回200mlまで。
何を飲むのがベスト
私たちの体液にはナトリウムやカリウムなどの電解質と呼ばれる物質が含まれています。体温調節や筋肉の収縮など大切な働きをしています。
汗は、これらの電解質も体外に排出してしまいます。
水だけを体内に入れると、体液が薄められ、元に戻そうとさらに水分を出すようになります(自発的脱水)。
水は、浸透圧を利用して腸管の内外を動く。
だから腸からスムーズに水分を吸収させるには、体液より少し成分濃度を薄くしなければならない。
エネルギー補給だけなら糖質が多いほうが効率は良い。
しかし、飲料の糖質濃度が、体液よりも高くなると、濃い糖質を薄めようとして水が体液から腸管に移るため、ますます体液が奪われることになってしまう。
つまり運動時の給水は、「水分補給」優先させた上、邪魔にならない量の薄い糖質濃度にする。
「糖質補給」は、糖質補給としてまた別で考える。また不足したナトリウム、カリウムなどミネラルについても考える必要があります。
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◆ 水分補給は、のどが渇いてから飲む?
低ナトリウム血症に注意
2015年に低ナトリウム血症を予防するために、のどが渇くまで水分補給を控え、のどが渇いたときに水分補給をするべきである、というガイドラインが米国で発表されています。
低ナトリウム血症が発生する主要な原因は、水分摂取量が多すぎることであり、その最も効果的な対策は水を飲まないことである、と研究者は指摘しています。
極度に飲水を多くした場合に腎機能が低下し、水分排泄量が低下する事によって生じる。
体内のナトリウムは血液などに希釈されて存在しており、水分量が増加することでその濃度は低下する。
これによって、致命的な症状につながる可能性がある。
低ナトリウム血症は、マラソン、トライアスロンなどの持久性競技において起こりやすい。
巷では、水分補給の重要性がいわれ、のどの渇きを感じている時点でもう脱水状態だから、そうなる前に十分に水分補給をするように指導されている。
のどが渇いたときにだけ飲むようにすれば、低ナトリウム血症を予防できるだけでなく、脱水を起こしてしまうこともないので、脱水によるパーフォーマンスの低下を恐れる必要は無い、安心して良い、と研究者はいう。
また、筋けいれんや熱中症は、脱水状態とは無関係である、と研究者は指摘する。
熱中症は発熱量が多くなりすぎるということが問題なのであって、水分摂取量が増えても発熱量が低下しなければ結局は起こってしまう。
最も有効な対策は熱を下げることであって、水分摂取量を増加させて、ナトリウム濃度が低下することによって、危険な熱中症症状がかえって引きおこされてしまうこともあるというのだと指摘しています。
このガイドラインは、あくまでも低ナトリウム血症予防についてのものです。
汗や呼気で失われた水分は、当然、摂取しなければなりません。
また、失われたナトリウム、他ミネラルについても摂取することも忘れてはいけません。
あくまでも必要なものを必要なだけ、足りないのも摂り過ぎも良くありません。
10時間を越えるようなレースでは、エネルギーに使われた脂肪やグリコーゲンが減ってくるわけですから当然体内の水分比率から、水分量は減るわけです。
発汗量とまったく同じ量の水分補給は多すぎるということになります。
また、自律神経の不調からのどの渇きなど体の不調サインをうまく出せないことも考えられますので、
よく自分の体を観察してこまめに摂取することが大事です。
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・ レース終了後の体は? |
ゴール後のゴールデンタイム!栄養補給のタイミング
レース終了した後は、感動のゴールの余韻に浸ったり、疲れきって体が動かなかったり、しばらく体をそのまま放置状態にしていることもあるでしょう。
しかし、レース後の体の状態は、蓄えられているグリコーゲンが減少し、体内の水分量も不足、また、ビタミンやミネラルを大量に消費しています。
筋肉や腱は破壊され、傷ついた状態で、修復が必要です。
内臓も疲労困憊、そして免疫力も低下。フルマラソンを一回走ることによる体のダメージは、相当なものです。
フルマラソン終了後2週間は、免疫力も低下しています。
普段かからない風邪をひいたり、体調を崩しやすい時期でもあります。
この期間は、しっかり休養を考えるようにしましょう。
レースで疲れ切った体を回復させるためには、
ゴール後にいかに早く、効率よく適切な栄養補給が、非常に重要なポイントです。
ゴール直後、少量でも必要な栄養を摂ることでダメージを和らぎ、 その後、食事でしっかりと栄養補給が最重要となります。
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身体を故障させないためにも、よりパフォーマンスを向上させるためにも、
身体に必要な栄養素をタイムリーに摂ることが必要です。
運動時に摂るスポーツサプリメント

詳しくは、こちら・・・
運動時に必要なのは、エネルギー補給だけではありません。
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